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時効援用の信義則違反、権利濫用の実例
<事実@>
兵庫県知事が国の機関として農地の買収を行う際に、Aの農地をBのものと誤認して、Bからそれを買った。
農地はやがて農地転用許可を受けたXが買い受け、ビルを建てて使っていた。
Aはこの土地を取り戻すためXや国を相手に訴えを起こし、その裁判に勝った。
それでXの所有権移転登記は取り消された。
さらにAは、Xに対し建物収去と土地明け渡しを求める訴訟を起こした。
結局、XがAにお金を払って、問題の土地を買い受けるということで和解が成立した。
XはAに払った土地代金その他の損害の賠償を求めて国を訴えた。
ところが、国はXの損害賠償請求権は20年の消滅時効にかかっているとして賠償に応じない。
<判旨@>
民法724条後段所定の20年の時効期間は、不法行為の被害者が損害の発生及び加害者を知ると否とにかかわらず進行する。
これは、その本旨が、自己の不法行為について争訟の対象とされないまま放置されてきた加害者をその不安定な立場から解放しようとするところにあるからである。
しかるに、国はXとともに自ら共同被告としてAに応訴し、訴訟追行を継続してきた者であり、右時効制度において真に救済を予定されたものではない。
本来、Aとの訴訟における敗訴の責任を究極的に負担すべき国が、右訴訟中に進行、完成した消滅時効を援用し、賠償の責を免れることは著しく公平を欠き、権利の濫用として許されない。
<事実A>
定期預金の満期ごとに行われていた自動的な継続手続が、銀行内部の事情(支店次長の横領)により、預金者の知らないままに中断された。
そして、最後の満期から5年以上経過した時点で預金者の返還請求が行われた。
これに対し銀行は、消滅時効を援用して支払を拒否した。
<判旨A>
銀行側が横領者に対する損害賠償請求訴訟に勝てば預金の払戻に応じることもある旨の発言をしていたこと、そもそも事件が銀行内部の不祥事に起因する事等にかんがみると、銀行において預金債権につき消滅時効を援用することは、信義則に反し、権利の濫用にあたるといわざるを得ない。
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