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時効の判例 時効完成後の承認
Aさんの勤務していた会社の取引先が倒産をしました。
営業していたAさんが担当していた取引先が倒産したため、売掛金が回収できなくなりました。
上司は、自腹を切って穴埋めをしたほうが将来のためには良いと言い、B金融を始めとする5社から160万円を借り入れ、会社に入金しました。
B金融からは、平成2年2月に30万円、同年9月に10万円を借りました。
その後、Aさんはこの借入金の返済に追われるよになり、職場や自宅への激しいと取立てのために心身ともに疲れ果て、3ヶ月ほど入院しました。
退院後、Aさんは勤務先から退職を余儀なくされ、また妻とも離婚、子供とも別れざると得ませんでした。
Aさんは心機一転してやり直すために転居し、職場を変えましたが、そこにも金融業者が押しかけてきて、辞めざるを得なくなり、その後は運送会社のアルバイトをしていました。
平成10年1月14日、B金融はAさんの職場に電話をかけてきて、遅延損害金の請求は今日までの分でいい、他の業者へのAさんの住所は教えないから、毎月10万円程度を支払ってくれと要求してきました。
貸金業者の取立てに恐怖を感じていたAさんは、平成10年2月9日に7万円を支払いました。
Aさんは自分の借入金が時効にかかっているなど知る由もありませんでした。
Aさんが支払ったということは、債務の承認であり、時効の利益の援用放棄になるとして、B金融は貸金請求の訴訟を起こしました。
取引経験、法律知識において圧倒的に勝る債権者が、消滅時効の完成を知りながら、法的に無知な債務者にこれを告げないまま債務の一部を弁済させたり、債権者が債務者の時効援用の主張を封じるために時効完成後に甘言を弄して小額の弁済をさせた上で態度を一変させ、残元金及び多額に上る遅延損害金を請求するような場合には、債務者が一部弁済など債務承認行為をした後でも、消滅時効を援用することが信義則に反しないことがあり得る。
このような場合は、債務者の時効援用権を制限するよりも、本来の時効の効果をそのまま維持することが、時効制度の趣旨からも、公平の観点からも合理的と言える、と判決は言っています。
その上で、Aさんの消滅時効の主張を認め、貸金の支払義務がないことを認めました。
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