サイト内検索
|
最初にこちらのページに来られた方はトップページからどうぞ。
時効の判例 時効の起算点
Aさんは平成14年8月11日午後11時ごろから正午過ぎの間に、車両の盗難にあいました。
Aさんは警察に届け出るとともに、自家用自動車総合保険に加入しているB損害保険会社に、盗難による保険金の請求手続を行いました。
B損保の約款では、請求手続をした日からその日を含めて30日以内に保険金を支払う旨が規定されていたのですが、B損保では、その期間内に必要な調査をする事が出来ませんでした。
そこでB損保の委任を受けた弁護士が、同年11月5日頃、本件の盗難には理解できない点があり、今後の確認作業へのAさんへの協力を求めるとともに、調査結果が出れば保険金支払いに応ずるか否かについて速やかに連絡する旨を記載した協力依頼書を送付してきました。
ところが、同年12月12日に、この弁護士は、調査協力には感謝するが調査の結果、保険金の支払には応じられないとの結論に達した旨の免責通知書を送ってきました。
Aさんはすぐにでも訴訟を起こせばよかったのですが、平成16年11月26日に訴訟を提起したのです。
自動車保険請求権の時効は2年です。
B損保では、保険金請求手続のなされた日から3日を経過した日から、請求権の消滅時効は進行し、訴訟の提起された平成16年11月26日には2年以上経過しており、すでに消滅時効は完成しており、B損保には保険金の支払義務はないと主張してきました。
Aさんが保険金請求手続をした後、B損保ではAさんに調査協力を求め、その1ヶ月あまり経過した後に、保険金を支払わない旨の免責通知書を送ったのです。
裁判所は「協力依頼書の送付から本件免責通知書の送付までの間は、B損保が保険金を支払うことは考えられないし、Aさんも調査に協力してその結果を待っていたものと解されるので、訴訟を提起するなどして本件保険金請求権を行使することは考えられない。
そうすると、B損保の代理人による協力依頼書の送付行為は、Aさんへの協力を求めるとともに、調査結果が出るまでは保険金の支払ができないことについて了承を求めるもの、すなわち、保険金支払条項に基づく履行期を調査結果が出るまで延期する事を求めるものであり、Aさんは調査に協力することにより、これに応じたものと解するのが相当である」として、本件保険金請求権の消滅時効は、Aさんが訴訟を提起した平成16年11月26日には、いまだ完成していなかったとして、B損保の主張を認めた東京高裁の判決を破棄し、Aさんの主張を認めました。
スポンサードリンク
|