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取得時効進行中の相続
被相続人がある土地を自分の所有物と思って8年間使用してきたとします。
その相続人がさらに引き続き5年間使用してきたとします。
この場合、取得時効は成立するのでしょうか?
民法187条には「@占有者の承継人は、その選択に従い、自己の占有のみを主張し、又は自己の占有に前の占有者の占有も併せて主張することができる。A前の占有者の占有を併せて主張する場合には、その瑕疵をも承継する」と規定されているのですが、ここでいう「占有者の承継人」に相続人がなるかが、問題です。
古い判例は、相続人は被相続人の占有それ自体を承継する者であり、相続人が自分の占有だけを切り離して独自の主張をすることはできず、民法187条の占有者の承継人の中に相続人は含まないとしました。
その後、判例は変更され、「民法187条は相続のごとき包括承継にも適用され、相続人はその選択に従い自己の占有のみを主張し又は被相続人の占有に自己の占有を併せて主張する事ができる」としました。
ですので、相続人は被相続人の占有8年と自分の占有5年とを合計して13年の占有を主張できるのですが、この場合には、もし被相続人が占有開始時に悪意であったとすると、相続人もその瑕疵を承継しますから、善意10年の取得時効は成立しません。
被相続人が占有開始時に善意であったときのみ相続人はこの土地の所有権を時効で取得します。
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