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裁判上の請求による時効中断の判例
@訴えの提起による時効中断の効力を生ずる時期は、訴状の受理の時であって、訴状が相手方に送達された時ではない。
A1個の債権の数量的な1部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えを提起した場合、訴え提起による消滅時効中断の効力は、その1部の範囲においてのみ生じ残部には及ばない。
B債権者が時効の受益者を相手として詐害行為取消権を提起しても、その前提となる債権の消滅時効を中断しない。
C1個の債権の1部についてのみ判決を求める趣旨を明らかにして訴えを提起した場合、訴え提起による消滅時効中断の効力は、その1部についてのみ生じ、残部には及ばない。
しかし、そのような趣旨が明示されていないときは、請求額を訴訟物たる債権全部として訴求したものと解すべきである。
したがって、その場合には、訴えの提起により、右債権の同一性の範囲内においてその全部につき時効中断の効力を生ずるものと解する。
D手形権利者が手形を所持していないのに、手形債務者に対し裁判上の請求をした場合でも時効中断の効力がある。
E手形所持人が受取人欄白地のままで手形金請求の訴えを提起した場合でも、時効中断事由となる。
F原告が所有権に基づく移転登記手続請求訴訟を起こし、その裁判で被告が自分に所有権がある旨を主張して被告のその主張が認められたときは、この主張は裁判上の請求に準ずるものとして原告の取得時効を中断する効力がある。
G債権者が債務者に対し破産手続開始決定の申立をしたときは、その債権の消滅時効の中断事由たる裁判上の請求となる。
H公正証書に関する請求異議訴訟において、債権者がその訴訟上において債権の存在を主張したとしても、右証書作成上の代理権欠如を理由に請求異議が認容され、右債権自体の存否が判断されなかったときは右債権についての裁判上の請求に準ずる消滅時効中断の効力は生じない。
I約束手形の所持人Aが、手形振出人Bの連帯保証人Cに手形の支払を求めた。
Cは、Bの手形振出責任は訴訟の審理中に時効で消滅したと主張したが、Bの振出責任の消滅時効は連帯保証人Cに対するAの訴訟で中断される。
その理由は連帯保証人に対する請求は、主たる債務者に対してもその効力を生ずるから、連帯保証人に対する裁判上の請求は主たる債務についても消滅時効を中断する。
主たる債務が手形債務でも異ならない。
手形債務を主たる債務とする連帯保証契約で、連帯保証人に対し裁判上の請求がなされれば、手形債務についても消滅時効は中断する。
J裁判上の請求は、訴訟が却下又は取下げられた場合には時効中断の効力が生じないが、ただし、二重訴訟を解消するために前訴が取り下げられてもその取下げが権利主張をやめたものではなく、権利についての判決による公権的判断を受ける機会を放棄したものでもないときは、訴訟を取り下げても訴訟の提起による時効中断の効力が存続する。
K原告が自動車事故による損害賠償請求訴訟を提起したところ、被告がその裁判上で相殺の抗弁を出し、しかる後、不法行為に基づく債権を受動債権とする相殺は禁じられているため、それを取り下げて別訴で被告から反訴を起こした。
相殺の抗弁は民法149条所定の裁判上の請求と認められ、それを取り下げたとき一般に時効中断の効力がなくなるが、別に反訴の形式で同一請求をし、相殺の抗弁も反訴も裁判上の請求という点では継続性を有するから、消滅時効は中断されたままになっていると解するのが相当である。
L抵当権に基づく任意競売申立は被担保債権の消滅時効中断事由となる。
M原告(従業員)が雇用契約上の地位確認及び未払賃金支払請求訴訟を提起し、二審段階でベースアップによる増加賃金分や一時金の請求拡張をした場合、基本的法律関係たる地位確認を求めた段階で派生的なベースアップ分等の請求権についても時効は中断したものと認められる。
N原告は被告に対し小切手支払の確定判決を既に得ているが、被告行方不明なので時効中断のため再訴を提起することは、他に時効中断の簡易な方法がないときは、この再訴を認めてもよい。
O主たる債務につき確定判決があって消滅時効期間が10年に延長されたときは、それに附従する保証債務の時効期間も10年となる。
しかし、附従姓のない連帯債務の場合には連帯債務者の一人について時効期間が延長されても他の連帯債務者のそれが10年に変ずることはない。
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