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消滅時効の援用者
消滅時効の完成によって、直接的に義務を免れる人は、当然に援用権者になります。
債務者がこれに当たります。
以前は、援用権者を「時効によって直接利益を受くべき者」(直接の当事者)に限定していました。
その理由は、直接的に時効利益を受けるべき人が時効利益の享受を欲していないのなら、間接的に利益を受けるべき者が時効利益を受けるのは、理に反するというものでした。
しかし、現在の判例では、間接的な当事者にも援用権を拡張しています。
連帯債務者、保証人、連帯保証人の消滅時効の援用権
連帯債務者とは、3人が連帯して債権者から300万円を借りていたとすると、債権者は3人から100万円ずつ取り立ててもよいし、1人から300万円を取ってもよいとされている債務者の事をいいます。
3人から総額300万円を自由に取り立てることができるのです。
一人の債務者が300万円を支払った時は、それで債務は消滅しますが、3人の債務者の内部では、1人当たりの負担部分が100万円になるように求償権行使によって調整する事ができます。
連帯保証とは、主債務者の保証なのですが、単純な保証人と違うのは、連帯保証人には、催告の抗弁権と検索の抗弁権がないことです。
この抗弁権というのは、債権者が保証人のところへ請求に来た時に「まず、主たる債務者に請求してくれ、そして、主たる債務者が無資力であるなら、そのときは私が支払います」と抗弁する権利です。
連帯保証人には、この抗弁権がないので、主債務者に弁済能力があるのに連帯保証人のところへ請求がきたら連帯保証人は支払わざるを得ないのです。
民法439条には、連帯債務者のうち1人のために消滅時効が完成した時はその債務者の負担部分について他の債務者もその義務を免れる、と規定しています。
3人の連帯債務者のうち1人だけについて、何らかの理由で消滅時効が完成したとすると、その債務者の負担部分である、3人で300万円ですから1人当たり100万円については皆が利益を享受できるという事です。
借金の総額は200万円になります。
消滅時効の完成した当該債務者はもちろん、他の連帯債務者も民法439条によって、直接的に消滅時効の援用ができるのです。
連帯保証人についても民法439条が適用されます。
単純な保証人についても、判例は「保証人は主債務の時効を援用する事ができる」としています。
民法439条
連帯債務者の一人のために時効が完成したときは、その連帯債務者の負担部分については、他の連帯債務者も、その義務を免れる。
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