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時効の判例 消滅時効
マンションでは共用部分を管理するための費用である管理費用、それに将来のマンションの修繕に備える費用である特別修繕費を、管理規約に基づいて徴収されます。
Aさんは、友人の知り合いであるマンション所有者から、特別に格安でマンションの1室を購入しました。
ところが、このマンションの前所有者は、6年余りにわたって管理費及び特別修繕費を滞納しており、その合計が174万円にもなっていました。
マンションに関する法律である区分所有法では、マンションの管理組合が区分所有者に対して有する債権は、特定承継人に対しても行うことが出来るとしていますので、マンション管理組合はAさんにその支払を求めてきました。
Aさんは、法律に詳しい友人に相談したところ、マンションの管理費等の債権は、民法169条に規定されている定期給付債権だから、5年で消滅時効にかかるはずであり、支払期限から5年を経過している分である104万円は支払わなくてもよいと聞き、裁判で争うことになりました。
1審のさいたま地裁越谷支部、2審の東京高裁でも、Aさんの消滅時効の主張は認められませんでした。
その理由は、本件マンションの管理費等は、原則的に毎月一定額を支払う形になってはいるものの、マンション管理組合員の総会の決議により額は決定され、毎年要する経費の変化に応じて年単位で増額、減額等がされることが予定されるものであって、その年額が毎年一定となるものではない、このような管理費等の債権は、基本権たる定期債権から発生する支分権としての性質を有するものではない、としてAさんの主張を認めませんでした。
これに対して、最高裁は、マンション管理組合がその区分所有者に対して有する管理費等に係わる債権は、管理規約の規定に基づいて、区分所有者に対して発生するものであり、その具体的な額は総会の決議によって確定し、月ごとに支払われるものである。
このような本件の管理費等の債権は、基本権である定期金債権から派生する支分権として、民法169条所定の債権に当たるものというべきである。
その具体的な額が共用部分等の管理に要する費用の増減に伴い、総会の決議により増減することがあるとしても、そのことは上記の結論を左右するものではないとの判断を下しました。
こうしてAさんの5年の短期消滅時効の主張が認められました。
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