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債権執行

◇債権執行とは

債権執行とは、債務者が第三者に対して有する債権、売掛金や給料、銀行預金などに差し押さえるものです。

申立があれば裁判所は、差押命令を下し、この命令が第三債務者に送達されたときに差押の効力が生じます。

差押命令が債務者に送達されてから1週間経てば、申立債権者は直接第三債務者から差し押さえた債権の取立てをすることができます。

申立費用は安価です。

債権者が有している債権を探すことが難しいこと、他の債権者も差押対象債権に同じく債権執行してきた場合には、平等弁済になります。

平等弁済を避けるために、独占的に債権を取得できる転付命令という方法があります。

この方法は、第三債務者が無資力だった場合は、もはや債務者の他の財産に差押できなくなる可能性があるので、転付命令をするかどうかは考える必要があります。

申立は地方裁判所にします。


◇申立費用

@印紙額 4,000円

A予納郵券(切手) 裁判所によって金額が異なります。


◇債権執行の手続

執行裁判所の差押命令によって、債務者に対し取立の禁止、第三債務者の債務者への弁済が禁止されます。

差押命令は、債務者と第三債務者へ送達されます。

債務者へ送達されてから1週間経過すると、申立をした債権者は、第三債務者から直接取立ができます。


◇転付命令

差押命令は、その効果として、その債権を取り立てることができる取立権が発生します。

転付命令の申立では、原則として転付命令が債務者と第三債務者へ送達されてから1週間経過で確定し、確定すると第三債務者への送達時に弁済があったものとみなされます

しかし、転付命令が第三債務者に送達される前に、他の債権者による差押、仮差押または配当要求がなされた場合は転付命令は効力を失います。

差押命令では、他の債権者による差押が競合したり、配当要求があると、第三債務者が供託した後に、配当手続による案分弁済になります。

これに対し、転付命令は、第三債務者に送達された後に、差押などが競合しても、独占的に弁済を受けることができます。

転付命令の申立をするかは、第三債務者の資力が十分かどうかで判断します。


◇取立

差押命令が債務者に送達後1週間を経過したときに、取立権が発生します。

第三債務者から支払いを受けた額の限度で弁済されたものとみなされます。

取立権行使の要件は下記になります。

@差押命令の効力が生じていること、差押命令が第三債務者に送達されていること。

A差押命令が債務者に送達された日から1週間を経過したこと。

B債権者が競合していないこと、競合している場合には、債務者は供託しなければなりません。

第三債務者から支払いを受けた差押債権者は、取立届を裁判所に提出しなければなりません。

ただし、提出しない場合に不利益を課する規定はありません。

第三債務者が任意の支払いをしない場合は、債権者は訴えを提起せざるをません。

これを取立訴訟とといいます。

訴訟の内容は通常訴訟で、勝訴すると第三債務者の財産に強制執行することになります。

取立訴訟では、債権者の競合がない場合は単純な給付判決となります。

これに対し、競合により第三債務者が供託義務を負うときは、「被告は原告に対し、***円を支払え。この支払いは、供託の方法によりしなければならない」との供託判決になります。


◇将来債権の差押

将来債権とは、差押の時点では存在しないものの、将来発生する可能性のある債権をいいます。

停止条件付債権や始期付債権などはこれにあたりますが、単に弁済期未到来の債権はあたりません。

将来発生する将来債権には、同一の法律関係に基づいて継続的に発生する将来債権と、それ以外の将来債権になります。

継続的給付にかかる債権に対する差押の効力は、「差押の後に受けるべき給付に及ぶ」と規定しています。

@継続的給付債権と認められるもの

・給料債権

・取締役等の役員報酬

・議員報酬

・賃料債権

・弁護士などの顧問報酬 など

Aその他の将来債権は、将来発生するかどうかが不確実で、第三債務者が将来にわたり不安定な地位に置かれることから、既にその発生の基礎となる法律関係が存在し、近い将来その発生が相当程度見込めるものは、差押の対象となります。

このその他の将来債権にも、1回限りの給付を目的とする単発的な将来債権と継続的な将来債権があります。

単発的な将来債権としては、競売における配当金交付請求権または剰余金交付請求権、保険契約に基づく解約返戻金請求権があります。

継続的なその他の将来債権としては、保険医の診療報酬債権、売買、請負、運送などの継続的取引から将来発生する債権などがあります。

保険医の診療報酬債権は、個々の診療行為により発生するため、継続的給付債権とは区別されますが、実務上、発令時から1年先までに発生するものまで差押が認められます。

継続的取引から生ずる債権で、具体的な債権は各個別契約により生じると解されていることから、継続的給付債権とは区別され、実務上、その発生の確実性等により、発令時から6ヶ月先までに発生するものまで差押が認められています。


◇給料債権の差押

給料債権など、債務者の生計を維持するために一定の債権の差押については、原則として、その支払期に受けるべき給付額の4分の3に相当する額が差押禁止の範囲であり、その余りの4分の1は差押が可能です。

手取額が金44万円を超えるときは、手取額から33万円を控除した額が差押可能な額になります。

取締役の報酬については、差押禁止の保護はありません。


◇供託

供託とは、法律の定めにより、金銭または有価証券を法務局などに預けて保管してもらうことをいいます。

供託には、弁済供託と執行供託、両者の性質を兼ねた混合供託があります。

弁済供託は、債務者が債務返済のためにする供託です。

債権者の受領拒否、受領不能、債権者の不確知の場合に供託することができます。

執行供託とは、差し押さえられた債権の債務者がする供託をいい、権利供託と義務供託があります。

差押命令の送達を受けた第三債務者は、相当金額を供託できます。

これを権利供託といい、第三債務者を免責させる供託です。

他の債権者から差押がなされるとなど、債権者が競合した場合は、第三債務者に供託が義務付けられています。

これを義務供託といい、裁判所は配当手続を行います。

混合供託とは、債権譲渡された債権を差し押さえられた場合などに第三債務者が譲受人と差押債権者のいずれに弁済したらいいのか判断がつかない場合に行われます。

その他に担保(保証)供託がり、仮差押などの保全処分、競売手続の執行停止などで、供託を条件として保全や執行停止の決定がなされる場合の供託をいいます。

担保供託は裁判上の決定などの成立要件になります。


◇配当

債権執行において第三債務者が権利供託・義務供託をした場合、取立訴訟の判決に基づく供託がされた場合には、配当が行われることになります。

配当を受けることができる債権者は、下記の時までに差押、仮差押の執行または配当要求した債権者です。

@第三債務者が権利供託または義務供託をした時。

ただし、仮差押の執行のみを理由として供託がなされた場合は除かれます。

A取立訴訟の訴状が被告である第三債務者に送達されたとき


◇小額訴訟債権執行

小額訴訟債権執行とは、小額訴訟によって得られた債務名義に基づいて金銭債権に対して強制執行する場合に、小額訴訟を申し立てた簡易裁判所に申し立てられる強制執行です。

小額訴訟債権執行は、小額訴訟によって得られた債務名義による金銭債権に対しての強制執行をいい、その小額訴訟が申し立てられた簡易裁判所の裁判所書記官が行います。

申立を受けた裁判所書記官は、債務者に対し金銭債権の取立その他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止する差押処分をして小額訴訟債権執行を開始します。

差押の対象の金銭債権について転付命令などの換価を命ずる命令を求めるとき、または配当を実施すべきときは、地方裁判所の債権執行の手続に事件が移行されることになります。

そのほか、裁判所の裁量で地方裁判所に移行することもあります。

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